こんにちは。オーエムデザインの姫野です。
前回、日報を1,000件以上読み返して気づいたことを書きました。その中で「たった1人だけ、日報が本物だった」という話をしました。
今回は、その社員の話をもう少し書きます。
高卒、未経験、業界知識ゼロ。入社してから1年ちょっと。その社員が今、どうなっているか。
今日の内容
最初は写真番号の入力からだった
その社員が入社したのは、去年の1月です。
高卒で、インフラ点検の経験はゼロ。橋がどういう構造をしているかも知らない状態でした。
最初に任せたのは、写真番号の入力作業です。点検で撮った写真に番号を振って、調書に入力していく。地味な作業ですが、成果物の精度に直結する大事な仕事です。
当時の日報にはこう書いてありました。
「1日に結構電話して、申し訳ないなと思います。一回でまとめて聞けるようにしたいと思います」
わからないことがあるたびに先輩に電話していた。それを「迷惑をかけている」と感じて、自分から改善策を考えている。
入社1週目の日報です。この時点で、この人の日報は他の人と違っていました。
「わからない」を隠さなかった
この社員の日報を読んでいて、一番目を引いたのは「わからない」の多さでした。
「何から書いていいのかわからなかった」
「人見知りが出て上手くしゃべれませんでした」
「答えることができませんでした。やったことがないのでわからないは無くしたい」
普通、日報にここまで書きません。特に新人の頃は「できる自分」を見せたくなる。できなかったことより、できたことを書きたくなる。
でもこの人は逆でした。できなかったことを、そのまま書く。飾らない。隠さない。
それは弱さじゃないんです。
「わからない」と書ける人は、次に「どうすればわかるようになるか」を考えられる。「できました」で終わる人は、そこで止まる。
日報が上手い人より、日報が正直な人の方が伸びる。それを教えてくれたのが、この社員でした。
指摘されたら、次の日に変わっていた
もう一つ、この社員の日報で印象的だったことがあります。
ある日、こんなことが書いてありました。
「ChatGPTに最初、全部任せていたから指摘を受けて、自分で考えて作成しました」
社内の資料作成で、AIに丸投げしていたのを指摘された。それを日報にそのまま書いて、翌日から自分の言葉で書き直した。
普通なら「指摘されました」で終わるか、そもそも日報に書かない。この人は指摘された事実を隠さず書いた上で、次の日にはもう行動を変えていた。
同じパターンが何度もありました。
つまずいたことを書く。改善策を書く。翌日の日報で、実際に試した結果を書く。
このサイクルが毎日回っている。派手なことは何も書いていないんですが、1週間単位で読むと確実に前に進んでいるのがわかる。
自分が苦労したことを、仕組みにしようとする
この社員にはもう一つ、特徴的な傾向があります。
自分が苦労した作業を、後から来る人のためにマニュアルにしようとすること。
「次に入ってくる人のためにも、マニュアルを作成して」
「自分が躓いたところは他の人にもちゃんと伝わるように作成する」
こういう記述が日報に繰り返し出てきます。入社して数ヶ月の時点から。
これは誰かに指示されてやっているわけじゃない。自分で「次の人が同じところで困らないように」と考えて、自発的にやっている。
正直、入社1年目の社員にこの発想が出てくるとは思っていませんでした。
自分が苦しんだ経験を、個人の思い出で終わらせずに仕組みに変えようとする。入社1年目でこれが自然に出てくるのは、正直驚きました。
1年後、教える側になっていた
あれから1年。
写真番号の入力から始まった社員が、今は一般図のマニュアルを書いています。品質調査の計画書を作っています。後から入った社員に道具の使い方を教えています。
入社時は「電話しすぎて申し訳ない」と書いていた人が、今は後輩に「一緒に確認してから作業を進めた」と書いている。
教わる側から、教える側に。確認される側から、確認する側に。
1年でこうなれたのは、この人が特別に優秀だったからじゃないと思っています。
毎日の日報で自分の足りないところを正直に書いて、翌日に一つずつ潰していった。その積み重ねが、1年分たまった結果です。
派手な成果は一つもない。でも、振り返ると確実に別人になっている。
学歴じゃなかった
うちは「学がなくても巻き返せるチャンスがある会社にしたい」と思ってやっています。
この社員を見ていると、それは綺麗ごとじゃなくて本当だと実感します。
高卒で、未経験で、業界のことを何も知らない状態で入ってきた。それでも1年で教える側になれた。
学歴じゃなかった。資格でもなかった。必要だったのは、素直さと正直さでした。
わからないことを「わからない」と言えるか。失敗したことを隠さずに報告できるか。指摘されたら、翌日から変えられるか。
それだけです。それだけのことが、実はすごく難しい。でも、それができる人は確実に伸びる。うちの会社では、それを何度も見てきました。
この社員の日報を読むたびに思います。
「飾らない人が、一番強い」と。
一緒に働いてみたい! という方 → 採用情報はこちら
インフラ点検を依頼したい! という方 → お問い合わせはこちら

